食品が有害であるということ3 [食の安全、安心]
前回までは固有の毒性について記載しました
これに関連しては「食品添加物」問題がありますが
バラバラに記載すると分かりにくいものになってしまいますので
「食品添加物」全般についてはこれらのお話の最後に一覧にして
私なりの個別の添加物についての評価を掲載したいと思います。
この「固有の毒性」に続いて
食品が有害であることとしての要素は
「その物質なりの摂取量」ということになります。
たとえば、「水」水道水でも、どの水でもかまいませんが
一般的には「安全」と思われていますが
そうだからと言って摂取しすぎるとどうなるか
「水中毒」が起こりえる可能性があります
以前、アメリカで1度に12Lくらいを飲まれたご婦人が亡くなられたというニュースを見た記憶があります。
一般に「安全」といわれているものであってもその摂取量によっていくらでも「危険」「有害」になってくることがあります。
栄養素でも同じで、細かくは私の別なブログ「微生物のサプリ百科」(リンク集参照)をお読みいただければと思いますが
ビタミンAというものがあります。
一般的には人にとって必要な栄養素の一つです
α、β、γカロチンやクリプトキサンチンなどの形で人体に摂取されて、体内でビタミンAを構成しているのですが
生理作用として「●発育を促進●上皮細胞(皮膚・粘膜)の生理に関係し、細菌に対する抵抗力を増す●網膜の桿状細胞におけるロドプシン生成の材料となり,明るさに関する視覚に関係する」必要な栄養素です
それが不足すると「●発育不良●上皮組織の角質化、毛孔性角化症●伝染症・呼吸器病などに対する抵抗力が弱くなる●結膜が冒され、乾燥性眼炎、角膜軟化症●暗調応が悪くなり、夜盲症になる」といわれています。
しかし
反対に過剰摂取になると「●脱毛、嘔吐、下痢、皮膚がうろこのようにはげる、ぼやけて見える、発疹、骨が痛む、生理不順、疲労、頭痛、肝臓肥大、妊娠初期(3ヶ月程度)は異常出産」の報告がされております
このビタミンAは脂溶性、いわゆる脂に溶けるタイプのビタミンで、体内蓄積性があります
ほうれん草、にんじん、かぼちゃ、パセリ、レバー、卵黄、うなぎ、うになどに多く含まれています
日本人1人1日摂取量0.81mg(95%はカロチンから摂取、1998年)で、前述のようにプロビタミンAとしてα、β、γ―カロチン、クリプトキサンチンがあり、動物体内で酵素のカロチナーゼによりAに変化します。
カロチンとしての摂取は疫学的研究から日本人の摂取安全限界が20mgという結果がでており、これを超えるとがんを促進する作用がある報告があります。このことは既に1990年代に確認されており、β―カロチンによる抗がん性は否定され、むしろ肺がん促進作用の報告されています。
がんに有効なのはαカロチン、リコピン、ルテイン、βクリプトキサンチンのミックスではないかと言うのが今の主流の意見です。
脂溶性のため体内蓄積がされ易く過剰症になり易く、皮膚病で薬の大量投与を受けている患者は慢性ビタミンA過剰症の可能性があります。
またエトレチナート(中外)トレチノイン(中外)投与者は過剰症と類似症状を起こす可能性。ワルファリンカリウム(エーザイ)投与者は副作用として出血傾向の副作用が起こります。
反対に抗生物質、下剤等はビタミンAの吸収を妨げることがあるため、逆に不足する可能性もあります。
糖尿病、甲状腺機能障害、肝機能障害、胆のう障害の人はβカロチンのビタミンAへの変換が困難なため、不足する可能性があるため、医師などの専門家の管理の下に注意をして補填をする必要があります。
またビタミンAの欠乏はビタミンCの損失を招くこともあり、過剰にならないにしつつ、バランスととっていく必要があります。
米国栄養評議会のビタミンAの摂取基準はNOAEL3mg、LOAEL6.48mg。
βカロチンとしてNOAEL25mg、LOAEL不確定となっています。
*NOAEL・・・実験動物における無毒性量。通常この値を基準として安全率1/100を乗じてヒトに対する安全量を計算し、その結果がADI(1日許容摂取量)になります。
*LOAEL・・・最小毒性量
このようにすべてのものにおいて、固有の毒性があっても
いやむしろどれにもあると思われますが
摂取量が安全性の閾値内であれば有害性の発現は起こらない可能性があるということになります
しかしこの摂取量は次号に続きますが、それぞれ人によって違いがあるということです
そのことは上述の皮膚病患者、糖尿病患者などもふくめてということになります。
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*平均的日本人の摂取状況は基本的に必要量をかぼちゃ、にんじん、卵黄などによって十分に摂取できています。
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