手洗いー食品工場 [食の安全、安心]
多くの工場では十分に教育を受けていないことがある
手洗いは食品衛生の基本であるが、生産に力が入ってしまい
基本的なことが抜け落ちてしまっている
そこで従業員の思い思いの手洗いが行われてしまう
これは2005年の日本防菌防黴学会出のポスター展示の内容であるが
見てもわかるように、自由に手洗いをさせると
指先、指のまた、親指、手の甲、手のひらの真ん中などに微生物が残留していることがわかる
「手洗い=手をこすり合わせること」と思ってしまって、手のひらを中心にこするだけで、入念な手洗いができているとはいえない状態である
実際に調べてみても同じ傾向がうかがえる
【手洗いの基本】
①手洗い(水洗) 10秒
②石鹸洗い 20秒
③すすぎ 20秒
④乾燥、拭き取り 10秒
合計 最低1分
相当以前の資料で申し訳ないが、確か「月刊HACCP」かなにかに掲載されていたもので以下のような研究結果がある。
●効果的な手洗いベスト5(杉並区保健所・衛生試験所共同研究1999年)
1位 液体石鹸2回洗い、逆性石鹸10%原液30秒 (550倍)
2位 液体石鹸1回洗い、逆性石鹸10%原液10秒 (360倍)
3位 液体石鹸1回洗い、風乾後エタノール (150倍)
4位 液体石鹸2回洗い、逆性石鹸10%10倍希釈30秒(130倍)
5位 液体石鹸2回洗い ( 25倍)
*( )内は水洗いを1とした時の生残菌率からの効果。約数。
*風乾せずにエタノール噴霧すると水洗いの17倍程度。
さらにアルコールは揮発するためすぐに増殖を始める。
・手洗い後に適切な場所で、殺菌剤による手指の殺菌が実施されている。(一般的に手指の殺菌に使用されている殺菌剤は、アルコール(製剤)・逆性石鹸など)
一般的な食品工場では、取り扱う商品の違いがあるが、第3位の手洗い方法が多い
私がお伺いした工場の9割以上はこの方法である
ただし、方法は同じであっても、手洗う方法が個々人の判断で行われておれば、この結果は意味がない!
基本的な手洗いが行われてこそ、初めてこの結果の有効性が出てくるのであって、手洗いそのものが不十分であれば、同じ手法を用いていても結果はまったく違ってくる…
ましてエタノール(アルコール)を、十分に水をふき取らずにぬれたままで使用している工場は、おそらく半数以上であり、それは見るたびに「意味のないこと」と指摘し、「経費の無駄遣い」と皮肉る…
アルコールそのものについても、有効濃度は70%前後、水がつけば、市販の業務用のものであっても「水割り」でほとんど意味がない
まして、残留たんぱくがある上に噴霧しても、そのたんぱくの上に噴霧しているだけで、表面の微生物、しかも一部のグラム陰性菌には有効であっても、大部分の微生物には有効性はない!
アルコールを噴霧すればいいのではない!
まずは手洗いが基本!
そのことをわすれないでいただきたい!
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