粗食は長寿などを保証しえるか? [食の安全、安心]
カロリー摂取量を大幅に減らすと、がんや心疾患、糖尿病など加齢に伴う病気の発症を抑えられることが、アカゲザルを使った20年間の追跡調査で明らかになった。
霊長類で、こうした効果が実証されたのは初めて。米ウィスコンシン大などのチームが、10日付の米科学誌サイエンスに発表した。
チームは、7歳から14歳の大人のアカゲザル(飼育下の平均寿命27歳)を30匹使って、1989年に研究を開始。94年には46匹を追加した。二つのグループに分け、片方のカロリー摂取量を30%減らし、血圧や心電図、ホルモン量などを測定。死んだ場合は、解剖で死因を詳しく調べた。
カロリー制限しないグループでは、5匹が糖尿病を発症、11匹が予備軍と診断されたが、制限したグループでは兆候は見られなかった。がんと心疾患の発症も50%減少した。また、脳は加齢とともに、萎縮 ( いしゅく ) することが知られているが、制限したグループでは、運動や記憶などをつかさどる部分の萎縮が少なかった。
白沢卓二・順天堂大教授(加齢制御医学)の話「カロリー制限が、長寿や高齢者の認知機能維持にも役立つ可能性を示すもので、大変興味深い」
- 読売新聞 [07/10(金) 14:24]
おそらく、人の健康にとって有意義な実験結果の一つとは考えられます
しかし、一つはこれはあくまでも1つの実験結果に過ぎないということです。
実験はその実験の方法、環境、検体(この場合、猿)の状況と種類、実験中の管理環境等さまざまな要素によって結果が変わってくる可能性を持っています
したがって、まったく反対の結果になってしまうこともありえます
ただこの結果が、新たな科学的根拠を模索する一つの試金石になったことは大きな意義を持つ実験と評価されます。
また、もう一つの問題ですが「粗食」とはどういうものをさすのかです。
一般的に日本人で言えば「一汁一菜」などを「粗食」として受け止めがちです。
ここに大きな落とし穴があります
果たしてそういう「粗食」が有効的なものなのか
否、おそらくそれではすまないと栄養学的には考えられ、人間であればどういう食事がよいのかと言う実証的な事実はありません
同時にもう一つですが、環境的要因として人の日常生活における環境要因としての労働、人間関係、それらに伴うストレスなど実験では起こり得にくい現実との関係ではどうなのかと言うこともあります。
これらのことは決してこの実験と実験結果を否定するものではありません
ただ、マスコミはこういう風に一部の断片的事実を伝えるだけで、人に対して、それも通常の日常生活を送っている人に対してどうであるかと言うことは何一つ掘り下げた報道をしていません
学者、専門家と言うかたがたにしても一般の消費者が理解できる言葉で、実験のことについて補足をするということもされません
しかし、消費者の側は、こういう報道が流れるとそれを鵜呑みにしてしまいがちです
そこに落とし穴が存在しています!
これは一つの実験結果としての事実の一つと言うことで受け止めておく必要が大切です
決して、そのまま受け止め、自己判断での「粗食」の実行は行うことのないように願いたいと思います!
完全に栄養学的なバランスを保持した上で、社会的環境も同じものが作り出せれば同様の結果を得ることが出来ると思います
しかしそれは現実的に不可能なことです
相対的な主観論で言えば確かにカロリーを制御した食事はこのような長寿などに有効であろうとは思いますが、それはあくまでも推論の域を出るものではありません。
現実的に「絶対」と言うことは存在しえません
何事もプラスがあれば、マイナスがあります
正と負は常に背中合わせの存在です。そのことを十分にご理解いただいて冷静な対応をしましょう!
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