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抗生物質に耐性を持った大腸菌 [微生物危害]

抗生物質で治療しにくい新型の多剤耐性の病原性大腸菌が米国で広がっていることが、ミネソタ州の退役軍人医療センターなどの研究でわかった。ST131と呼ばれる型で、従来の耐性大腸菌に比べて病原性が比較的高く、感染すると重症になりやすい。日本でも見つかり、西日本などで拡大中というニュースが流れました。

これをお聞きになって不安に思われていらっしゃる方もあろうかと思います。

確かに問題のあるものだと思います。

病原性を持った大腸菌はいかのように大体分類されます

1.腸管出血性大腸菌(EHEC=VTEC=STEC)

これはいわゆるベロ毒素によって病原性を発揮する、もっとも有名なものとしてO157があります。

もしかすると、今までニュースでO26、O111なども耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、これらはこの分類に入り、昔の事件以降、第3類感染症として指定伝染病となったものです。

これらはウシの保菌率がきわめて高く、そこから野菜→ヒト、ヒト→ヒトと言うような感染経路をたどることが多く、もっとも幅広く食中毒が出ている菌類です

2.腸管病原性大腸菌(EPEC)

これらは最も古くから腸管病原性を指摘されてきたもので、小児性下痢の病因となってきたもので、O血清型として、1と同様にO26やO111も含まれています

東南アジアなどで水の整備がされていないような地域で大量に発生しており、ヒト→水→ヒトというサイクルかされてしまっている地域が多くあります

本邦には海外旅行によって持ち込まれる場合が多くあります。

3.細胞侵入性大腸菌(EIEC)

これは赤痢属菌とよく似ており、腸管内に侵入してそこで増殖をして細菌性赤痢症を引き起こすもので、基本はどの菌にもいえることですが、ヒト→水→ヒトと言う伝播ルートで開発途上国に多く見られるもので、旅行者感染症の一つです

日本には旅行者によって持ち込まれることがあり、O血清型で124,136、143…などあります

4.毒素原生大腸菌(ETEC)

易熱性毒素(LT)を産生するものと、耐熱性毒素(ST)を産生するものがあり、LTはコレラ毒素と類似している。

細胞毒、神経毒、腸管毒活性を併せ持つベロ毒素と比べると。このうちの腸管毒のエンテロトキシンを産生するものであることから、ベロ毒素と比較すれば軽度と言うことになる

これも乳幼児下痢症、旅行者下痢症の病因であり、開発途上国からの国内への持込が多い

O血清型では11がよく発生したりしていますが、それ以外に25,27、29。114,115など多数ものもがあります

5.腸管凝集付着性大腸菌(EAggEC)

これはETECとは別の耐熱性腸管毒(EAST)を産生するもので、小児の慢性下痢の原因とされています

これらも海外旅行者が国内に持ち込む例が多くあり、O血清型では44、127、128があります

 

この5と類似するが、EPECの一種と言う説もある拡散付着性大腸菌(DAEC)などもあります

 

今回のものはおそらく5に分類されるものではないかと思われますが、これらの大腸菌については今までにも薬剤耐性のついたものも多く発見されており、今に始まったものではありません

そういう大腸菌がいると言う認識をして

 

大事なのは大腸菌は動物の糞便→水→野菜など→ヒト(間を飛ばすことなどがある)と言う伝播ルートをとり、特に海外からの持込が多いと言うことを分かっていただきたいのと

手洗いの徹底で「つけない」、温度管理の徹底で「増やさない」と言う「殺す」より前にきちんとすることをすれば、大きな問題には決してならないと言うことを知っておいていただきたいと思います!

インフルエンザしかり、海外での自らの行動の管理とあわせて、日常の手洗いと温度管理をつめに心がけていきましょう!

 

 

 

 

 


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