「食に安全」はない! [食の安全、安心]
先日の私のブログでコメントをいただいた
三五館編集部の方からご献本をいただいた
- 作者: 小薮 浩二郎
- 出版社/メーカー: 三五館
- 発売日: 2010/06
- メディア: 単行本
昨日、届きまだ今朝開封したばかりで読んではいないが
これで少し触発されたところがあって
表記のようなセンセーショナルなタイトルでちょっと書いてみようかなって言う気になった
「食に安全」はない!
結論から先に言うと、「安全」なんていうものは相対的な人間にとって存在し得ないものであり
本来は「安全性」という言葉を使うべきなのである
絶対の安全なんて「食」に限らず
どこにも存在し得ない概念である
もともと「安全」というのは「検証に基づく客観的な評価」ということであるが
客観性がない人間にとって絶対的客観性は求めても求められるものではない
そこで、近年の考え方として「危険の存在を前提とした行動=危険性、有害性の管理」ということが言われてきているのである
いわゆる「危険性(リスク)が許容可能な水準に抑えられている状態=安全性」というものの考え方であり
ここで「リスク」の管理の重要性が今の安全性管理にとって重要であるということとなっている
「リスク」というのは「危害に晒された集団における、健康危害の確率と重篤度の推定値」と定義付けられている
場面によっては健康危害の確率が低くても、重篤度が高い場合がある
交通事故などはルールさえ守っていれば発生する確率は日本人全人口の中では低いが、死亡も含め後遺障害など重篤度が高い
その反対に健康危害の確率は高いものの、それほど重篤な自体にはならない、すなわち死亡とか重体、後遺障害などにまでは至らないものもある
微生物の例で言うと、黄色ブドウ球菌の増殖時に産生されるエンテロトキシンによる食中毒などは、黄色ブドウ球菌そのものの保菌者が案外多数いらっしゃることなどから発生する確率は、比較的高いものの、発症まではいたらなかったり、発症しても人の体が反応し、嘔吐だけで終わり、それ以上の大きな被害は起こらないものなど
いろいろなものが存在する
同時に昨年の新型インフルエンザなどにおいては確率も高く、対応によっては重篤度の高いものもある。
これから少し「食の安全性」にかかわる内容について連載していければと思います
この食の安全性を追及していくことによって、初めて「安心=安全を実現していく過程に対する信頼=個々人が感じる主観的評価」が生まれてくるのであって
簡単によく「食の安全、安心」という言葉を使われたりしていますが
この「安全、安心」という言葉の順番も大切なことなのであり、「安全性」が高められていってはじめて「安心感」が生まれるのであって、決して「安心、安全」ではないのです…
ついでといっては非常に失礼ではありますが、これらの問題に関連して、私が懇意にしていただいている諸先生方の関係されている書籍をご紹介しておきます。
加工食品―じょうずな利用と可能性を考える (栄養科学ライブラリー)
- 作者: 森 光国
- 出版社/メーカー: 女子栄養大学出版部
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
知らなきゃヤバイ!食品流通が食の安全を脅かす (B&Tブックス)
- 作者: 米虫 節夫
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2010/02
- メディア: 単行本
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